大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)160号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決には、原告主張の二点において事実を看過ないしは誤認した違法がある旨主張するが、原告のこの主張は、理由がないものといわざるをえない。すなわち、

(一) 原告は、まず、本願発明は硬質ビニルシートと半硬質(軟質)ビニルシートとの二層の積層体であるに対し引用例のものはベニヤ板と硬質ビニル板との積層であり、軟質ビニル板はこの接着剤の代用であり、構成、したがつて、これに伴う作用効果を異にする旨主張するが、成立に争いのない甲第二号証(引用例)によれば、引用例のものは、その明細書の実用新案の説明の項に「本案はベニヤ板1に軟質ビニール板2を介して硬質ビニール板を貼着して成るから、……釘打ちが可能であり、彎曲面に屈曲して用いることもでき、ベニヤ板とビニール板との接着は安全で、軟質ビニール板が介在されているから緩衝性を有し……」と記載されており、この記載と成立に争いのない甲第三号証の図面(とくに第二図)を合せ考えると、引用例のものにおける軟質ビニール板は、ベニヤ板及び硬質ビニール板に貼着されているもの、すなわち、この三者の積層体を構成するものであることが認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。原告は、この点につき、引用例のものにおける軟質ビニルは接着剤代用を主眼とするものである旨主張するが、右主張は前顕甲第二号証の実用新案の説明の項の説明にも反する独断といわざるをえず、もとより採用しうる限りではない。

(二) 次に原告は、本願発明における材料の厚さ比の数値的限定の技術的意義を強調して、この点に関する本件審決の認定を非難する。しかしながら、本願発明において硬質ビニルシートと軟質ビニルシートの厚さの比を一〇対一〜五としたことは、前顕甲第三号証の第二図によつても、その剛性率につき、この数値限定に特段の技術的意義があるものと認めることはできない。けだし、右図表によればその剛性率は、硬質ビニルシート及び軟質ビニルシートの厚さの比の増減に応じ(比例又は逆比例的に)漸次増減するにすぎず、一〇対一〜五の附近において特段の変化があることを認めることはできず、他にこれに添う証拠資料の見るべきもののない本件においては、右数値限定に特段の技術的意義を有するとする原告の前示主張も、これを採用するに由ないものといわざるをえない。

(むすび)

三 叙上のとおりであるから、その主張の点に違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、その余の点について判断を用いるまでもなく、理由がないものとするほかはない。

よつて、これを棄却する。(服部高顕 三宅正雄 奈良次郎)

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